フタコイ オルタナティブ

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TV放映版
 第1話「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」
 第2話「ノーネームディ」
 第3話「エメラルドマウンテン ハイ」
 第4話「ニコパク ラプソディ」
 第5話「7DAYZ(...and HappyDayz)」
 第6話「どうして好きなのに別れちゃったの?」
 第7話「双葉恋太郎最初の事件」
 第8話「サはさよならのサ」
 第9話「フタコイ」
 第10話「クマのように舞い、イカのように刺す」
 第11話「燃える二子魂川」
 第12話「光ある場所へ」

2005/06/12 ~ 2005/07/01 記
第1話「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」
2005/06/12 記

 冒頭、るるちゃんとららちゃんが謎のバケモノ相手に銃をぶっ放し、ロケットランチャーをぶっ放し、手榴弾をぶっ放し、果てはパラシュートで降下、その開いたパラシュートにタイトルが載っているあたり、(最初見たときは)思わず笑ってしまった。つか、白い粘液でドロドロになった双子小学生って……。

 しかし、その勢いはとどまるところを知らず、すンごい勢いで登場人物達を紹介しつつ、爆弾は破裂するわ、バイクが空飛ぶは、ヘリが墜落するは、と派手な上に、矢鱈な勢いがあり、あっという間に終わってしまう。にもかかわらず、なんだか微妙に日常的な雰囲気に、微笑ましい気持ちになったりもする。意味やワケはあるんだかないんだかなんだが、兎も角、面白い。しかし、話内容的には「コロッケとヘリと地下ボクシングと私」以上でも以下でもないあたり、凄いというか何というか。
第2話「ノーネームディ」
2005/06/12 記

 双樹と沙羅ちゃん、二人の勢いはものすごくて、息つく暇もないくらいしゃべりまくって、暴れまくって、その様はひたすらに楽しいんだけれど、でも派手な事なんて何一つ無い、なんだかとっても平和で普通な一日……に見せかけて、そこに過去の話をちりばめ、しっかりキャラクタを掘り下げてきている。つか、主人公 双葉恋太郎についてがメインだったりするが。しかし、その声をあてている関智一さんは凄いというか何というか。恋太郎の魅力の半分はこの声なんじゃないだろうか?
第3話「エメラルドマウンテン ハイ」
2005/06/12 記

 変わってしまったもの。なくしてしまったもの。もう二度と返ってこない日々。「あの頃が一番楽しかった」と振り返ってしまうのは、その時、手にしていたなにかを失ってしまったからだ。喪失というのはいつだって痛みを伴うし、その痛みから逃れようと思えば、まだ、失っていなかった頃を思い出してしまう。そして思い知る。もう、それは失われてしまったのだと。ダメになってしまったのだと。「こっちで良いじゃない」と囁かれる言葉は足を進めてくれるけれど、それでも僕らが求めているのは「エメラルドマウンテン」だったのだ。

 「エメラルドマウンテン ハイ」はそんな話だ。失った物の話。失われた物の話。やがて夜が来て、朝が来て、そしてまた夕方が来る。失われた物は失われたままに。これから失う物は手の中に。それでも、手を伸ばさずにはいられないのだ。どこか遠い国の深い水の底に沈んでしまった過去を忘れ去ってしまいたくは無いから。
第4話「ニコパク ラプソディ」
2005/06/12 記

 地上げ屋 v.s. ゴスロリ仮面! なんかもうやっぱりやりたい放題だ。雛菊姉妹も、白鐘姉妹も、桃衣姉妹も、桜月姉妹も、ゲーム双恋やアニメ双恋と、声も見た目も性格も一緒なのに、どうしてこう、ブッ飛んでられるのやら。めちゃめちゃ楽しいです。しかし、イカといいクマといい、微妙に不思議世界です、二子魂川。

 つか、全編ツッコミどころばかりで、もうどこに突っこんで良いやら。特にゴスロリ仮面、金庫の扉をC4で吹き飛ばすところなんて手際が良すぎて言葉もないというか、そう言う知識はどこから仕入れて育ったんだというか……。そういや、OPで双子12人全員戦闘行動を取ってたけど、あれってまさか同期の訓練生って意味じゃないよな?
第5話「7DAYZ(...and HappyDayz)」
2005/06/12 記

 ずっと一緒にいるのに、実は相手のことを良く解っていない。話したがらない事を聞くのも気が引けて、でも、気にならないわけでもない。ただ、今まではすぐそばにいたから。ただ、それだけで良いと思えたから。けれど、今度は1週間。彼女たちが消えてから。聞いてしまえ壊れそうな関係を、無くしたくはなかったから。だから、聞けもせず、探せもせず。やがて二人が帰ってきて、それは泣くほど嬉しくて、けれど、やっぱりどうしていなくなったのかは聞けないまま。いなくなった日と同じように、窓辺でギターを弾く双樹が「ねえ、今度私たちが居なくなったら、探しに来てくれる?」、そう語りかけてくるが、恋太郎は答えることも出来ず、ただまどろむだけ。

 この話を思い返していて、僕は村上春樹の「双子と沈んだ大陸」を思い出した。そして、それがどんな話だったかを思い出すにつれ、この話の結末もそうなるのかも知れないなと思うようになってきた。人々はとどまらない。入口から入ってくる。僕らは努力する。一緒にいられるように。けれど、人々は出口から出て行く。哀しげな顔をしながら。とどまるのは、ただ死者だけだ。失われた物だけが、この部屋にとどまり続けている。
第6話「どうして好きなのに別れちゃったの?」
2005/06/12 記

 双子塚にゲーム双恋の雰囲気を多分に引き継いでいる一条姉妹が楽しいが、反面白鐘姉妹は沈みっぱなし。第5話からの引きである携帯電話(※1)から繋がる離別の予感、そして離れたくないという想い。双樹と沙羅は温泉で恋太郎に迫るが、恋太郎の弱腰に沙羅は怒りを向け、しかしそのことを自己嫌悪する。迫るタイムリミットに二人は恋太郎を残して東京へ去り、そこに追いついた恋太郎は温泉での続きをせがまれる。

 別れの予感にドキドキし、恋太郎に「一つになりたい」と迫る二人にドキドキする。この後、どうなるんだ?
第7話「双葉恋太郎最初の事件」
2005/06/12 記

 恋太郎と双樹、沙羅との出会いの話。前話同様、その発端の一切が解らないまま、けれど彼らがどうして出会い、どうして一緒に過ごしているのか、その片鱗が見えてくる。立ち止まっていた三人は、出会うことによって自らの進退を占う。それはただの、何気ないきっかけだったのかも知れない。けれど、足を止めていた雨はやみ、予感を含んだ風が迷いを吹き飛ばす。暖かな夕日は景色を染め、そして新たなる日々が始まったのだ。この時に。

 見所はなんと言っても、ふぬけていた恋太郎がバイクにまたがるシーンだろう。沙羅の言葉に背中を押され、双樹の言葉に決意を固める。その様の格好良さ! そして一人きりの予告にドキッとする。とうとう別れの時が来るのか。

 あと、どうでも良いデスが、ufotableサイトのあらすじ紹介、「たかが14、5のガキにまで気ィ遣われてよぉ!」となってますが、TV放送時には「たかが12、3のガキにまで~」と言ってマス。DVD化時に修正……するだけの予算、あるンかなぁ……。
第8話「サはさよならのサ」
2005/06/12 記

 白鐘姉妹が抱えてきた秘密が明らかになり、恋太郎に寄せられる想いの正体も明らかになる。何もかもをあきらめたり、正当化したりするにはまだ二人は若すぎるし、その出口を恋太郎に求めるのも解らなくもないが、でもそれって恋太郎、一方的に利用されていないか? それだけの信頼と愛情を寄せているのも解るが、どちらかといえば恋太郎の方が被害者のように思えてくる。ま、色恋沙汰にフェアネスを求めてもしょうがないんだけどさ。

 そして、それを象徴するようなセリフが、沙羅ちゃんの「明日なんかいらない」、だ。それはそれでグッと来るセリフなのだが、しかしよく見ていれば解るのだが、別に恋太郎だけが優柔不断なわけではなく、白鐘姉妹も恋太郎に全てを託しているだけで、自分たちがどうしたいのか、はっきりと態度に示しているわけではない。彼女たちもまた、ズルズルと逃げているだけに過ぎないのだ。そこには自分の意志をなくしたくないという決意は見て取れるが、それによって人一人の人生を狂わせるかも知れないという罪悪感は感じられない。そこまでの判断を16そこらに求めるのは酷かも知れないが、別に恋太郎だって5つ上なだけで、さほどかわりあるわけでもない。

 そしてこの後、一山越えて良いように終わるのだと思うと、少し物足りなくなるかも知れない、とも思う。ここまでこれだけ丁寧に演出してきたのだから、きっとさいごまで見ても十分楽しめるだろうという期待も有るのだが、なんだかんだでまだ未知数だしな。てか、あと5話もあることを考えると、もうふた悶着くらいありそうだ。或いは、思いがけない方向に行くかも知れないが……プロモーションムービ、アレだったもんなぁ……。
第9話「フタコイ」
2005/07/01 記

 沙羅ちゃんがいない日々。ただ、その隙間を埋めたいが為だけに楽しく過ごそうと努める恋太郎と双樹。初めて訪れる「二人」の日々。けれど、それはたった二日の間に壊れさり、恋太郎は果てしなく「やりなおし」を要求する。失われてしまったものを思い浮かべながら。"もう一度"があっても、それで果たしてHappyに、今とは違う、「もしも」の結末を迎えられるのか、疑問に思いながら。いつだって目の前にあるのは現実だけで、思い描くだけでは喪失感を埋めることは出来ないのだ。

 そんな風に、第9話は"できたての喪失感"を楽しませてくれる。得たものよりも失ったものの方が僕たちは思い浮かべやすいのだ。なぜなら、そうしたいくつもの喪失体験を経て、僕たちは生きているのだから。それでも、矢張り、物足りない。きっちり韻を踏むような演出には感心するけど、喪失の物語は好きなんだけれど、でも、まだ足りないんだ。喪失に至る理由も。喪失した対象そのものも。一体、彼らは何を失ったのか。何を失いたくなかったのか。何にしがみつこうとしているのか。それが解らない……ってのは、淡泊すぎるんだろうか?

 いや、物語のネタとしては解るんだけれど、前にも書いたように、それでは理由としては弱すぎる。世界ってのは変わるモノで、失われていくモノで、選ばなければならないときもあれば、変わらなければならないときもある。そんなことは小学生でも知っている、と恋太郎も言うのだけれど、だからこそ、それでもなお手を伸ばさずにいられられない、というだけの理由と共感が喪失の物語には必要なのだ。望んだモノが自然に心に思い浮かぶ程度には。
第10話「クマのように舞い、イカのように刺す」
2005/07/01 記

 恋太郎は再び問いつめられる。双樹を幸せに出来るのか、と。何一つ不自由のない生活が出来たはずの双樹に、それに変わる幸せを与えてやることが出来るのか、と。恋太郎は何も答えられない。喪失感に苛まれている恋太郎には、自分の手が見えないのだ。追い打ちをかけるようにいかファイヤーが恋太郎を責め立てる。

 けれど双樹は再び恋太郎に問いかける。出会った頃のように。「私を、捜して?」

 思い悩む恋太郎は、このまま双樹とも別れた方が良いと考える。その方が幸せじゃないか、と。自分は何もしてやれないんじゃないか、と。けれど、その様子を見ていた老婆の、「父親そっくり」だ、という一言が恋太郎を突き動かす。「おまえ、どうしたいんだ?」そう、問い続けてきた父親を思い出す恋太郎。そしてその手は双樹を捕まえる。覚悟をもって。

 方向を見定め、背負う覚悟をする。それは十分解る。けれど、やっぱり心には響いてこない。ダメだ、どんどん気持ちが離れていく。足りないんだ。思い入れが。土台が。尺が足りないンだろうか?

 冒頭、養育費の件で揉める二人は生々しいはずなのに、現金のやりとりという点でファンタジーすぎて、まるで現実感がない。会話内容との乖離が大きすぎる。それに、「何一つ不自由ない生活」から二人が逃げ出した点がサッパリ抜け落ちており、そんな相手に「そう言うヤツを世間ではガキという」等と言われても、全く説得力がない。覚悟の出来ていなかった恋太郎には重く響いただろうが、こっちからしてみれば、逃げ出すほどに追い込んだあんたらに恋太郎を一方的に責めるだけの資格があるの? と思うし、逆に自分らの不始末で無関係な他人を巻き込んでいるんだから、先ずは詫びるところから始まるべきなんじゃないか? とも思う。そういう「自分のことは棚上げ」な人間に「ガキが」と言われても、説得力がないのだ。

 ま、別に双樹も沙羅ちゃんもどうでも良い存在、身内とすら考えていないのだろうな、とも思うが。結局、あの男も傲慢でしかないのだ。だからこそ薄っぺらく、欠片も響いてこない。そして、そんな男の言葉を真に受けている恋太郎も、安く思えてしまう。感情移入するには何もかもが足りなさすぎるし、かといって目を引きつけるような派手さもない。前半のバカみたいな細かさは、一体、どこに消えてしまったんだろうか?
第11話「燃える二子魂川」
2005/07/01 記

 唐突に語られる「イカファイヤー」誕生秘話! そして、恋太郎の望み。双樹の望み。語られる、物語の行く末。

 予告の扱いから第10話、第11話は前後編なのだろう。その意図は十分に読み取れるし、そのための伏線もきっちり張られている。そして、ここで、やっと初めて恋太郎達の望みがはっきりと語られた。「3人じゃなきゃダメなんだ」、とは恋太郎の名台詞だが、ここに至るまでのタメが長かった分、感じる爽快感もひときわ高い。なんなら最終回でも良いくらいの出来、気持ちよさだ。

 恋太郎が双樹に電話をかけるシーン、恋太郎の身を案じる木下、バイクにまたがった針山が恋太郎を振り返って吐く、マジ格好良いセリフ(「9回裏からでも逆転できんのが男稼業の良いところだ!」)、恋太郎を「ガキ」と呼んでいた霧島さんが、自分の夢への切望を恋太郎に聞いてみる等々、本当に素晴らしい。

 しかしこれ、僕なんかはこうして溜まっている分を続けて観ているので良いんだけれど、一週間待たされた人は、「ちょっとなぁ……」と思っていたんじゃないだろうか? 自分の感想を読み返しても、そう思っているのがありありと書かれているし、シニカルな見方をすれば、タメにはなっているが吸引力は無い、とも言えるわけで、そのあたり、バランスが難しいのだと思う。出し過ぎてもダメだし、出さなさすぎてもダメだし。

 しかし、いきなり「イカファイヤー誕生秘話」が始まったのには面食らってしまった(楽しくもあった)。一体、どこのカルト番組だ? つか、こうして思い出してみるとlainみたいだな、この演出(もちろん、lainが最初ではないだろうが)。そしてひたすら、散々、暴れ回るイカファイヤーの気持ちよさと言ったら! さらに、他とのバランスがまったく欠片もとれていない陰影の書き込み具合も良し! しかし、そのわりにはあっさりとダメにされているあたり、可哀想なヤツだとも思う。せめてそれなりの散り様を用意してやって欲しかった。つか、なんでドイツ?
第12話「光ある場所へ」
2005/07/01 記

 沙羅ちゃんを追ってドイツまでやってきた恋太郎と双樹。湖上の城で二人が見たモノは……?

 陰謀といえばドイツ! 秘密兵器! と言わんばかりの展開に、困っちゃうんだけれど面白く、ハンパねぇ盛り上がり方にコレはコレで良いか、という気分に。いささか……いや、そうとうに無茶苦茶でアクロバティックな展開だけどな。そして、それを明らかに自覚的にやっている(沙羅のあきれ顔、そして霧島さんのセリフ「思いっきりバカをやりたかった」等々)あたり、恐らく現場は楽しかったンだろうな、とも思う。つか、こういう展開ってどうよ? とも思うが、第11話で全てが終わって、第12話から新シリーズが始まったとでも思えば乗り切れなくもない。途中でフィーネさん(の胸)が大きく成長したゾイドみたいなモンだと思えば。なんせ、初めてタイトルらしいタイトルの出し方だったしな、今話は。

 しかし、これでやっと第1話の冒頭に繋がった。一見、無関係に見えていたるるちゃん、ららちゃんも、実は悪の組織と戦うエージェントだったわけだ。つか、このマイナー臭さ、ツッコミどころの多さ、ハイテンションッぷり! 良いね! 良いよ! 頑固オヤジのラーメン屋だと思って入ったら、実はメイド喫茶だった、ぐらいの荒唐無稽さだけれど、ある意味、グダグダな展開ではあるんだけれど、まぁ、これはこれで良しって事でよくね? と言えるだけの中身は詰まっている。バカバカしさから格好良さまで。

 いや、もちろん、頭ァ抱えるのが真っ当な人としての対応だとは思うけどさ。でも、このハイテンションッぷりは認めても良いんじゃないだろうか?
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