女囚701号 さそり

女囚701号 さそり
2004/05/03 記
 梶芽衣子主演、さそり伝説第1弾。
 3、2、1という順番で見てきたこのシリーズの、その原点に当たる最初の映画だが、驚いたことにさそりが普通に話している。それどころか、モノローグさえやってのけている!! 勿論、さそりにしては、であって、啖呵を切ったり、長台詞を言ったりはしないが。つまり、回を重ねるごとにキャラクタが固まり、無口になっていった、ということだろう。まるでゴルゴ13みたいだ。

 内容は、女刑務所内での、愛憎散華、恐怖が咲き乱れまくりだ。1作目ということで、荒削りな部分もあるが、相変わらずの”怨み節”で、初っぱなからフケ(脱獄)に失敗したさそりが踏みにじられ、いたぶられ、穴を掘ったり埋めたり、閻魔落としくらったりしつつ、最後は女囚どもから集団リンチを受けたりもする。そして最後はやっぱり黒衣の復讐鬼となって、その本懐を遂げるわけだが、そのときの演技の凄さ、恐ろしさといったらもう! 特に男にドスを突き刺した直後、ドスを腹にもっと深く突き刺そうと体を揺すっている様なんてのは、特筆モノだ。

 と、その描写は相変わらず過激で、迫力にあふれているのだが、ただ一つ、梶芽衣子の眼力は、あまり威力がない。この辺も回を重ねるに従って強力になっていったのだろう。

 個人的には2作目の「女囚さそり 第41雑居房」が一番好きなんだが、3作目「女囚さそり けもの部屋」の、もはや超人と化したさそりも捨てがたい。特にあの眼力。あんな迫力のある目は見たことがない。矢張り、梶芽衣子という女優自体が、希有な存在だったのだろう。勿論、脇を固める役者陣もスゲェ迫力だが。そして、それらをまとめ上げた伊藤俊也監督の才能も大きかったのだと思う。70年代っていい時代だったんだねぇ……。
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