フロレアール

13cm OnLine ~フロレアール~
Windows版
----/--/-- 記
2004/06/10 修正
◆フロレアール ~ すきすきだいすき ~
 13cmのリリカル・ラブストーリなノベルゲーム。
 情報筋によると『好き好き大好き!』と共に不幸な道を歩んだとか。

◆導入
 燈台守のジャンは今日も遅い昼食をとる。街からも外れたこの燈台にひっそりとメルンと二人きりで過ごす毎日。果てしない空と海を分かつ水平線、波の音、そして静かに、ゆっくりと流れる時間。そんなささやかで切ないメルンとの物語。

◆システム
 なれしたしんだノベル形式です。あいかわらずキーボードでの操作はできません。この点さえ対応してくれれば可もなく不可もなくなのになぁ。
 あとCGモードとBGM再生モードとHシーン再生モード、エンディング再生モードがあります。

◆BGM
 可もなく不可もなく。あまり印象のない曲が多いです。

◆CG
 枚数が少ないです。もう少し増やして欲しいところです。特にジャンの回想シーンにCGがなかったのがちょっと。いつものことと言えばいつものことですが。

◆ストーリ全般
 全体的に難しい言葉や言い回しを多用しています。ジャンは神学を専攻していたという設定からなのかも知れませんが、詳細に理解するのはかなり骨が折れます。が、雰囲気さえつかめればさほどきになるものでもないので神学、哲学、料理に詳しくなくとも話自体は楽しめます。が、いくつかのサイトで解説とかやってますので調べてみるのも一興かと。

 で、シナリオは章だてて話が展開していきます。一つの章をクリアすると次の章への展開選択肢が出てくる、という流れです。
 と言うわけで章ごとに紹介……になってるのか?これ(恥)

・1章
 静かで平和な日々。昼過ぎに起きだし、買い物に行き、店主におちょくられ、家事をこなすメルンを眺め、海岸を散歩し、ゲームをして、燈台に火を入れ、夕食の会話を楽しみ、朝日を見て再びベッドに横になる。ひたすら、まぬけなくらい日常的な日常。
 時折来る『嵐』。過去の罪。記憶。次第に蝕まれていく精神を、しかし日常は忘れさせてくれる。その幸せと言う意味を一緒に実践してくれたメルン。
 そして約束の日がやってきて、メルンはいなくなったけれど僕はうまくやっていけると思う。精神の病に打ち勝つ方法を、日常に埋没することを、メルンは教えてくれたから。そう、これからが第2フェーズ。人生の第2フェーズ。

・2章
 1章の続きです。僕にとってのメサイヤ。ウロボロスからの脱出のキーパーソン。そのメルンは過ぎ去ったはずなのに戻ってきた。いや、帰ってきたのだ。とりあえず躊躇してみる。僕は弱いから眼前の選択に答えを出すことを恐れている。でも答えなんて最初から決まっていた。彼女を認めること。たったそれだけだ。僕にとってのメサイヤ。メルン。でも彼女を一人の女性として認める決心をしよう。僕らは新しい関係に進む。これからが第2フェーズ。僕らの第2フェーズ。

・3章
 夢を見た。酷い夢だ。僕は淫欲をメルンにぶつける。激しくぶつける。しかしそれも仕方がないのだ。メルンは僕の所有物なのだから。僕らは主従の関係で結ばれているのだから。メルンは『ご主人様』と僕を呼ぶ。それが、不幸。フォルキシア。
 僕の病気。不幸を振りまくとはまるで非科学的に聞こえるのにそれが人の業のように思えるのはなぜだろうね?
 でも。本当の不幸はそんなことではなかった。そして、その不幸を受けメルンは窓の外を-僕の手をつかもうと-落ちていく。その時僕は、ある、シフトアップを体験した。自分を、この空を、世界を。僕は飛び越えた。それは唯の現実逃避だったのかも知れない。メルンは重力にしたがい落ちて、僕はそれに手を伸ばす。

・4章
 夢を見た。酷い夢だ。僕は淫欲をメルンにぶつける。激しくぶつける。しかしそれも仕方がないのだ。僕には『海よりも深い事情』があるのだから。従妹。その関係が変わったのはいつだったか。変わらないのは彼女が『お兄ちゃん』と僕のことを呼ぶことだけだ。僕はメルンを痛めつける。しょうがない。僕には『海よりも深い事情』があるのだから。メルンだってそのことはわかっているし、なによりそれを受け入れている。だいたいメルンはその痛みを快楽に変えてしまうような変態なのだ。僕はメルンを痛めつけると同時にメルンに快楽を与えてやっているのだ。この犬にも劣る変態に。
 でも、終わりはあっけなくやってきた。メルンの父親が、あの暗黒街の名士が僕らを見逃すわけがないのだ。彼はやるときは容赦なくやる男だ。そして今がその時。最後に聞いた銃声はメルンの耳にも届いただろうか。

・5章
 僕はメルンを机の上に寝かせる。仮想のナイフと仮想のフォークを使って仮想のカニバリズムを体験する。食人。それは僕が神に対して挑んだ戦いでもあった。どのような道を歩こうとしても、どれだけあがいてみても結局僕とメルンは約束された幸福に進むしかないのだ。道をそれると修正され、またやり直しが始まる。いつまでたっても僕らは神の駒にすぎない。メルンと幸せになる物語の駒にすぎないのだ。だから僕は望む。僕は神を越えてみせる。それが『海より深い事情』

・6章
 僕は多分、日常に、帰ってこれたのだろう。

◆フロレアールは買いか?
 シナリオ自体は読ませますし面白いのでお勧め!ですがはげしいSM描写がダメな人にはかなりつらいかもしれません。怖い所は本当に怖いです。
 いわゆる「ダーク系」に耐性があり、かつ甘ったるい話にも耐性がある人なら何の問題もなく、と言ったところだと思います。
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